ハーブのある庭

 長年ハーブが庭にないことはありません。植えては枯らし…、雑草だらけでハーブが見えなくなった時もあります。それでも人生のその時々で、ハーブはそれなりに私の世界を彩ってくれているのです。

 ある年、今度こそハーブの素敵な庭にして、道行く人に喜んでもらいたいと公言して意気込んでいました。今度こそと。それなのに、またまたあっという間に草だらけにしてしまったのです。

「まただ、また繰り返してしまった、結局私はこうなんだ」と、ちょうど他のことでも自信をなくしていたので、そんな感情も混ざってネガティブモードいっぱいになってしまったのです。「もう止めた方がいいんだ、私にはしょせん無理だったんだ」、とそこまで思ってしまって。自分に対する情けなさと悔しさと怒りが混じって、泣きながら草をむしっていました。「もうハーブなんてやらない!」と。

 そんな状態だったのに、どんどん何だか馴染みのある良い香りに包まれ始めて…。草をむしる度に、こすれたハーブ達が香りを放ってきたのです。こちらではローズマリー、ラベンダー、あちらではゼラニウム、ミント、そちらでは…と、あちらこちらから様々なハーブの香りがして、まるで私に「大丈夫よ」「大丈夫だから」と声をかけてくれてくれているようでした。もう驚いて、こんな待遇しかしてあげてないハーブ達から、こんな声が聞こえるなんて…と。さっきまでとは違う涙があふれていました。

 清らかなあたたかい心地よい香りばかりでした。またしてもハーブから慰められ助けられたんだと。その時の香りの空間が忘れられません。こういう形でも私を救ってくれたハーブ達。これは自分のものだけではもったいない。やはり他の人にも、一人でも多くの人にもこの不思議な素敵な癒しの力を感じてもらいたいと、再度決意することとなったのです。

 ハーブさん、こんな私だけれど、これからもどうぞよろしくお願いしますね。

 この喜びや経験をがんばって伝えていきますからね。

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